アメリカの旅の原体験
思えば、大きな旅のチャンスがやってきたのは、渡米2年目のことである。サンフランシスコから、ペンシルバニア州ピッツバーグへの引っ越しである。車に家財道具を詰め込んでの「大陸横断ドライブ」であった。
目的地のピッツバーグは、サンフランシスコからみてほぼ真東にある。距離はざっと2500マイル(4000キロ)で、約1週間かけた盛夏の旅であった。北米大陸の広さを実感することになる。
州間高速道路80号線をひたすら東へ走り、ユタ州ソルトレイクシティを過ぎたところで少し北に向かい、米歴代大統領4人の巨大彫刻のあるサウスダコタ州のマウントラッシュモアに立ち寄った。
そこから90号線を東進し始めてすぐ、車がオーバーヒートしたが、応急処置をしてもらって、そのままシカゴ方面に向かう。途中、「大草原の小さな家」の作者ローラ・インゲルスの家に立ち寄ったりもした。
ミズーリ川を渡って、シカゴに着いたのは週末の夜のことで、モーテルに空室がなくあわてたりもしたが、翌朝、ミシガン湖沿いにある公園で一息ついたりもした。
ピッツバーグは、そのシカゴから車で1日で行ける距離にある。
そのピッツバーグは、アメリカ生活のなかでも、今の仕事につながる場所でもあって、親しみのある町であるが、その2年後には、ニュヨークのマンハッタンに引っ越すことになる。
ピッツバーグでも、ニューヨークでも、ほとんど旅らしいことはしていない。今から思えば、勿体ない感もあるが、それはそれで仕方がなかったと思っている。
ニューヨークでの約2年が過ぎて、カリフォルニア州に戻ることになった。
まずは、ピッツバーグへ向かい、知人に別れを告げたり、見そびれていた場所を見たりした後で、本格的な復路についた。
今度は、往路より少し南の70号線を選んだ。また1週間かけての初冬の旅だった。
ミシシッピ川沿いにある西部開拓の拠点であったセントルイスでは、「ゲートウェイ・アーチ」に登った。その時に買い求めたアーチの小さな模型は今でも部屋に飾られている。
デンバーからは南下して40号線に向かうことにした。少し南にあるコロラドスプリングスで訪れた「ガーデン・オブ・ザ・ゴッズ」で買い求めたパノラマの写真も、それ以来ずっと部屋の壁に飾ってある。
とちゅう吹雪に遭遇しながらも、ニューメキシコ州のサンタフェとアルバカーキを無事に通過して、40号線に乗った。アリゾナ州のフラッグスタッフでお土産の買い物をすると、もうまもなくカリフォルニア州に入る。
その後、よく旅をするようになったのは、写真を撮るようになって、身近にあるヨセミテやシャスタ山によく出かけるようになってからのことである。
写真を本格的に撮り始めて間もない頃、あるプロ写真家から教えられて、今も守っていることがある。それは、大自然ばかりを撮るのではなく、見落としがちな「小さな景色」に目を止めるということである。
だいぶ昔の大陸横断の旅は、まともな写真こそ残ってはいないが、私のアメリカでの旅行の原体験になっていると思う。今の一つの夢は、その時に辿った米国西部の場所を旅して、小さな景色を撮り集めることである。
(写真)
| セントルイスのおみやげ――ゲートウェイ・アーチ |
コロラドスプリングスのおみやげ――ガーデンオブザゴッズとパイクスピーク |
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